公開日 2022年5月21日 最終更新日 2023年3月14日
固定金利と変動金利、どっちがお得なの?
住宅ローン金利において固定金利を選ぶべきか?変動金利を選ぶべきか?
ほとんどの人が迷うポイントです。大半の人は商談中の住宅会社、不動産会社や住宅展示場で提案を受けるはずですが、そこではそうした業者が提携している金融機関の住宅ローンしか案内されません。当然ながら選択肢の幅がとても狭いのです。
つまり、将来的にも本来住宅予算のコストを大きく削減できる可能性のある住宅ローン選びにおいてベストな選択ができない…といった結果に至ります。
では、私たちは実際にどのように選べばよいのでしょう?
今回は私たちが受けてきた多くの相談の中で、特に相談された固定金利と変動金利の選びかたについてまとめましたのでそれぞれの特徴を説明させていただきます。
まず今回は固定金利に絞ってお伝えします。
固定金利(当初固定、全期間固定)の特徴
固定金利は10年国債の影響を受ける
固定金利(当初固定、全期間固定)は文字通り契約期間中の金利を固定で返済するタイプの住宅ローンです。固定金利の基準金利は、マーケットの長期金利(主に10年国債利回り)の影響を受けます。
金融機関は一般的に貸し出す住宅ローンの資金を金融市場から調達しています。
わかりやすく例えると、金融機関が10年固定金利の住宅ローンを融資する場合に、金融市場から調達した10年固定金利に利益を乗せて融資しているという建前をとっています。
実際は1件1件そのような流れで資金調達をしている訳ではありませんが、そうした建前をもとに金利を決めているということになります。つまり、固定金利の今後の動向は10年国債の動向を見ればわかる…ということです。
では、過去の10年国債の動きはどのような値動きをしていたのでしょうか?
日本の過去の長期金利推移は?
世界の事件や戦争、景気動向が住宅ローンの金利にも影響
財務省の資料(株式会社Erwinが編集)の10年国債の過去推移のグラフを見ると、様々な事件や戦争、景気動向などにより10年国債の利回りが変化しているのが見て取れます。国債利回りは国債を取引する投資家達の売買の動きによって決まりますので、様々な事件や戦争、景気動向をもとに国債が売買されることによって住宅ローンの金利にも影響します。
住宅ローンの固定金利は「将来の予測」に影響される
投資家は将来を予測して取引を行いますので、変動金利のように「今」の状況ではなく、「将来」の予測によって利回りが決定します。つまり住宅ローンの固定金利も「将来の予測」に影響されるという事になります。
例えば、35年住宅ローンは35年間同じ金利ですが、住宅ローンは10年国債の値動きの影響をうけることから、固定金利は融資を実行するタイミング(物件の引き渡し直前)で以後の返済期間の金利が決定します。固定金利といえど実際に融資を受けるタイミングの景気動向によって金利が変わってくるということです。
このため、日本銀行は、物価の安定を図るために、通貨および金融の調節を行っていて、(これを公開市場操作(オペレーションといいます)などの手段を用いて、金利誘導や、資産の買入れ等を行っています。こうした日銀が行う通貨および金融の調節を「金融政策」といいます。
住宅ローンの変動金利は「今」の市場動向、固定金利は「将来」の市場動向で変動
変動金利と固定金利の違いの一つとして、金利の変化の基準が異なります。
変動金利は「今」の市場動向、固定金利は「将来」の市場動向の予測によって変化するため、金利の変動するタイミングも当然異なります。先に動くのが固定金利で「将来」を見越して金利が動き、その後に「今」の市場動向を見て変動金利の金利が動きます。
固定金利のメリットとは?
返済期間(当初期間)中は金利が変わらない
固定金利のメリットは文字通り返済期間(当初期間)中は金利が変わらず、将来に向けての返済計画が立てやすいという点が挙げられます。月々の返済も定額(元利均等返済方式の場合)のため、金利変動リスクとともに返済額変動リスクもありません。
住宅ローンの固定金利を選んだほうがよい人は?
住宅ローンの固定金利を選ぶべき人は、ボーナスなどにより年収が大きく変動する(減るリスクのある)会社員や自営業、年収がまだ低めで、今後の働き方や長期での勤めが不透明な20代の会社員、共働きで今後ご出産を予定している方などが向いています。これらの人は変動金利で金利が上昇した場合に予測不可能な急な収入減などで対処不能になるリスクを抱えているからです。そうしたケースもあらかじめ想定して月々の返済額の見通しが立てやすい固定金利を選ぶことは大きなメリットになるでしょう。
固定金利のデメリットとは?
ここに注意!①打ち合わせ当初から固定金利1本に絞ることは絶対NG
住宅ローンの事前審査から実際に返済が始まる融資実行までの期間は、注文住宅で7~8か月、新築マンションにおいては1~2年以上かかることもあり、最初から住宅ローンを固定金利1本に絞り事前審査後に「将来」を見越して金利が上がり始め、変動金利はまだ上がっていないのに融資実行直前に固定金利は金利が上がってしまった・・・という事態になっても後の祭りです。こうしたケースが住宅展示場では住宅ローンでお客様に「得をしていただく」発想が根底にないため、最初から1本に絞ってしまうケースも多いのです。現状が超低金利といえどそういうことが起こる可能性があることをあらかじめ想定しておくべきです。
ここに注意!②変動金利から固定金利への途中借り換えでは手遅れに・・・
住宅ローン借入当初は現状超低金利の変動金利で借り入れ返済をスタートし、住宅ローン金利が上がり始めた状況で慌てて固定金利に借り換えをしようとしたとしても、「将来」の市場動向を予測して固定金利は既に金利が上がっていることが予測されます。そうした誤った認識で「いざというときは固定金利に逃げればいい」という選びかたは注意が必要です。
まとめ
今回は
- 固定金利は10年国債利回りは投資家達の売買の動きによって決まる
- 様々な事件や戦争、景気動向をもとに「将来」を展望しながら国債が売買され、それが住宅ローンの固定金利に影響する
- 固定金利の特徴から固定金利を選ぶべき人
- 固定金利は「将来」を予測して金利が変動しているため、住宅購入の最初から最後の期間のなかで変動するリスクがある
- 最初から住宅会社の住宅ローンの提案を鵜呑みにして固定金利1本に絞ってしまうと融資実行時に金利上昇を回避できないリスクがある
- 金利上昇による変動金利から固定金利への借り換えはもう手遅れ
このような内容をお伝えしました。次回は変動金利についてお伝えいたします。
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株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産や住宅予算診断、住宅ローンの専門家として、第三者的な立ち位置からのお金の専門家として、その後の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。