公開日 2023年8月7日 最終更新日 2026年9月22日
「住宅ローン控除で、結局いくら戻ってくるのか」——マイホームを検討中の方から、最も多くいただくご質問です。
この制度は2025年末で終わる予定でしたが、2026年の税制改正で2030年12月31日の入居分まで5年延長されました。さらに中古住宅への支援が大幅に拡充される一方、新築の一部は限度額が引き下げられるなど、内容も大きく変わっています。1年前の情報のまま資金計画を立てると、数十万円単位で見込み違いが起きかねません。
この記事では、住宅購入の資金計画を専門とするファイナンシャルプランナー(FP)の視点から、2026年時点の最新制度をまとめました。記事内のシミュレーターに借入額と住宅の性能を入れると、ご自身の場合にいくら戻るのかがその場で分かります。
1. 2026年、住宅ローン控除はこう変わった
2026年9月時点まず制度の基本から確認します。住宅ローン控除(正式名称は「住宅借入金等特別控除」)は、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が、所得税と住民税から差し引かれる制度です。所得税から引ききれない分は、翌年の住民税から最高9万7,500円まで控除されます。
2026年の改正で変わったのは、次の3点です。
変更点1:2030年入居分まで5年延長
改正前の期限は2025年12月31日入居まででした。これが2030年12月31日入居まで延長されています。「2026年から住宅ローン控除はなくなる」という情報を見かけることがありますが、誤りです。
変更点2:中古住宅の支援が大幅拡充
今回の改正で最も恩恵が大きいのが中古住宅です。省エネ基準適合以上の中古住宅は、控除期間が10年から13年へ3年延長されました。借入限度額も引き上げられ、認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅は3,000万円から3,500万円に。さらに子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せが新設され、同区分で4,500万円まで拡大しました。
これにより、子育て世帯が中古の高性能住宅を購入した場合の最大控除額は、改正前の210万円から409万5,000円へおよそ倍増しています。
変更点3:新築の省エネ基準適合住宅は引き下げ
一方で、注意が必要な変更もあります。新築の「省エネ基準適合住宅」だけは、借入限度額が1,000万円引き下げられました。
| 新築・省エネ基準適合住宅 | 2025年入居まで | 2026年入居から |
|---|---|---|
| 通常世帯 | 3,000万円 | 2,000万円 |
| 子育て・若者夫婦世帯 | 4,000万円 | 3,000万円 |
2. 控除額シミュレーター|あなたの場合はいくら戻る?
条件を選ぶと、借入限度額・控除期間・控除額の目安が表示されます。ご自身の状況に近い設定で試してみてください。
| 借入限度額 | — |
| 控除期間 | — |
| 初年度の控除額(目安) | — |
| 控除期間の合計(概算) | — |
| 制度上の最大控除額 | — |
※ 元利均等返済・ボーナス返済なしでの概算です。実際に戻る額は「納めた所得税+住民税(年9万7,500円が上限)」が天井になるため、年収によってはこの金額を下回ります。2026年入居を前提としています。
3. 借入限度額の一覧【2026年〜2030年入居】
借入限度額は、住宅の省エネ性能と世帯区分によって決まります。ここを超えて借りても、超えた分は控除の計算に入りません。
新築住宅・買取再販の借入限度額
| 住宅の性能区分 | 通常世帯 | 子育て・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他(省エネ基準未満) | 原則として対象外 | — | |
※ 省エネ基準適合住宅(新築)の数値は2026年・2027年入居の場合。2028年以降の入居は扱いが変わります(4章参照)。
中古住宅(既存住宅)の借入限度額
| 住宅の性能区分 | 通常世帯 | 子育て・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他(省エネ基準未満) | 2,000万円 | 上乗せなし | 10年 |
「うちの場合、いくら戻るのか」を正確に知りたい方へ
控除額は住宅の性能・借入額・年収・ローンの組み方で変わります。住宅購入の資金計画を専門とするFPが、ご家庭の条件に沿って試算し、控除を最大化する借り方をご提案します。初回相談は無料・オンライン対応です。
▶ 初回無料相談のご予約はこちら(オンライン対応)|受付時間 9:00〜18:30(土日祝含む)4. 「対象外だった」を防ぐ3つの確認ポイント
住宅ローン控除で最も避けたいのが、購入後に「対象外だった」と分かることです。特に起きやすい3つのケースを挙げます。
ケース1:新築なのに省エネ等級が足りない
2024年入居分から、新築住宅は省エネ基準(断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4)を満たさないと控除の対象外になりました。新築だから当然に使えるわけではありません。
建売住宅を購入し、引き渡し後に性能評価書を見たら等級3だった——というケースが実際に起きています。売買契約の前に、住宅性能評価書または住宅省エネルギー性能証明書の有無を必ず確認してください。
ケース2:入居が2028年にずれ込む(省エネ基準適合の新築のみ)
省エネ基準適合住宅を新築する場合、2028年以降に入居すると控除期間が13年から10年に短縮されます。判定の基準は建築確認の年ではなく「いつ入居したか」です。
注文住宅で着工が遅れ、入居が2027年末から2028年へずれ込むと、それだけで3年分(借入2,000万円なら約42万円)の控除を失います。回避する方法は2つあり、2027年中に入居するか、住宅の性能をZEH水準以上に上げるかです。ZEH水準以上であればこの制限はかかりません。中古住宅と買取再販住宅にも、この制限はありません。
ケース3:借入限度額を超えて借りている
限度額を超えた部分は、控除の計算に一切入りません。たとえば省エネ基準適合の新築(通常世帯・限度額2,000万円)で4,000万円を借りても、控除の対象になるのは2,000万円分だけです。
5. 適用要件と手続き
主な適用要件
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 合計所得金額 | 2,000万円以下(超えた年は控除なし) |
| ローン返済期間 | 10年以上 |
| 入居時期 | 取得後6か月以内、かつ各年の12月31日まで居住 |
| 床面積 | 原則50㎡以上(40㎡以上50㎡未満は特例あり※) |
| 居住用割合 | 床面積の2分の1以上 |
| 中古の築年要件 | 1982年1月1日以降に建築、または耐震基準適合証明書を取得 |
| 取得先 | 配偶者・直系血族・同族会社などからの購入は対象外 |
※ 40㎡以上50㎡未満の特例は、合計所得金額が1,000万円を超えた年は適用されず、子育て等世帯の上乗せ限度額とも併用できません。2026年改正で建築確認の期限が撤廃され、中古にも適用が広がりました。
初年度は確定申告が必要
会社員の方でも、控除を受ける最初の年だけは確定申告が必要です。入居した翌年の2月16日から3月15日が原則ですが、還付だけを受ける場合は1月から提出できます。混雑を避けたい方は1月中がおすすめです。
主な必要書類は次の通りです。
- 確定申告書と住宅借入金等特別控除額の計算明細書(国税庁サイトまたは税務署)
- 住宅ローンの年末残高等証明書(借入先の金融機関から郵送)
- 建物・土地の登記事項証明書(法務局。オンライン取得も可)
- 売買契約書または建築工事請負契約書の写し
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)と源泉徴収票
- 性能に応じて住宅性能評価書や認定通知書、中古なら耐震基準適合証明書など
2年目以降は年末調整だけ
会社員の方は、2年目以降の手続きがぐっと簡単になります。入居2年目の秋ごろに税務署から「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」が残り年分まとめて届くので、これと金融機関からの残高証明書を勤務先に提出すれば完了です。確定申告は不要になります。
個人事業主・フリーランスの方は年末調整がないため、控除期間中は毎年確定申告を続けます。ただし2年目以降に必要なのは計算明細書と残高証明書の2点だけで、登記事項証明書などの重い書類は初年度だけです。
6. ローンの組み方で控除額は変わる|ペアローンと連帯債務
ここが、FPとして最もお伝えしたい部分です。同じ物件・同じ借入額でも、夫婦でどうローンを組むかによって、受けられる控除の総額は変わります。
なぜ差が出るのか
住宅ローン控除は「納めた税金が戻る」制度であり、その人が納めた所得税・住民税の額が控除の天井になります。どれだけ借入残高が大きくても、納税額が少なければ控除枠を使い切れません。
たとえば夫の単独債務で5,000万円を借りた場合、計算上の控除額が年35万円でも、夫の納税額が25万円なら10万円分は使えずに消えます。一方、夫婦それぞれがローンを組むペアローンにすれば、2人分の納税額を控除の受け皿にできるため、枠を使い切れる可能性が高まります。
ただし「ペアローンが常に得」ではない
ここが難しいところです。ペアローンには次のような注意点があります。
- 諸費用が2本分かかる(事務手数料・印紙代など)
- 配偶者が育休・退職で収入が減ると、その期間は控除を使い切れない
- 団体信用生命保険はそれぞれの持分にしかかからないため、万一のときの残債の扱いが変わる
- 離婚や売却時の手続きが複雑になる
収入の見通し、お子さまの予定、団信の考え方まで含めて判断する必要があり、控除額だけを見て決めるべきではありません。ここは記事の情報だけで結論を出せない領域です。
7. よくある質問(FAQ)
制度のしくみについて
控除額が変わるケース
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 制度の期限 | 2030年12月31日入居分まで5年延長。なくなりません |
| 控除率と期間 | 年末残高×0.7%。省エネ基準適合以上なら新築・中古とも13年 |
| 中古の拡充 | 控除期間10年→13年、限度額も引き上げ。子育て世帯の上乗せも新設 |
| 注意すべき引き下げ | 新築の省エネ基準適合住宅は3,000万→2,000万円に減額 |
| 対象外リスク | 新築は省エネ基準を満たさないと控除ゼロ。契約前に性能証明を確認 |
| 控除の天井 | 納めた所得税+住民税(年9.75万円まで)が上限 |
| FP視点の要点 | ローンの組み方(単独・ペア・連帯債務)で控除総額が変わる |
住宅ローン控除は、条件を満たせば数百万円単位で家計を助けてくれる制度です。一方で、性能の確認漏れや入居時期のずれで、受けられるはずの控除を失うこともあります。物件を決める前、できれば住宅会社と契約する前に、ご自身の条件で試算しておくこと。それが、この制度を最大限に活かす一番の方法です。
大阪・神戸・京都・奈良でマイホームをご検討の方へ
「控除を含めた実質負担はいくらか」「夫婦でどうローンを組むのが有利か」——こうした疑問は、住宅購入の資金計画を専門とするFPにご相談ください。Erwinでは関西一円のご購入者様を対象に、中立の立場でオンラインによる初回無料相談を承っています。
▶ 来店・相談予約はこちら(初回相談無料)|受付時間 9:00〜18:30(土日祝含む)
株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産購入相談をはじめとして、住宅予算診断、住宅ローンなど、第三者の立ち位置から顧客の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。



