公開日 2022年4月4日 最終更新日 2024年10月25日
そろそろお家を買おうかな?とか建てたいな?と思われたときに、最初に足を運ぶのが住宅展示場や不動産会社だと思います。それはごく一般的な流れですが、そこには良い点もあればリスクも伴います。
今回は私自身住宅展示場でかつて相談業務を行ってきた経験をもとに、最初に住宅展示場に行ってはいけない3つの理由についてお話をしていきます。
住宅展示場は入社間もない若手営業さんや転職組が中心
住宅会社の営業さんは入社後の研修を受けたのちに、まず最初に配属されるのが住宅展示場です。そこはまだ住宅やローンについての知識が疎い新入社員さんや転職組の受け皿となっています。
右も左もわからない状況でとにかくお客様に納得してもらうための営業トークを日々学びながら営業実績を作るためにお客様を待ち構えています。そうしたことを積み重ね、良い営業成績を収めているとやがて現場の所長さんに昇格し、今度は管理する立場に移り変わります。
良い営業成績を収めた管理職はお客様の満足を積み重ねた方たちで、お客様の立場に立ったコンサルティング営業をされてきた方が大半ですが、全体の中ではごく一部です。そして、そうした仕事のできる方はやがて現場を離れて全体を管理する立場になります。そのため、現場でお客様と実際に接している方の多くはまだ営業実績の伴わない=お客様の立場で物事を判断できない方が多く存在します。
基本的にお客様は担当者を選べません(どの人が良い人なのか当然わからない)し、担当者は出たとこ勝負になってしまいます。人生で最も高額な買い物をするのに、ある意味経験を積むために入社間もない営業さんが担当になるのはとても不安が付きまといますし、運悪く不慣れな担当に当たってしまっては不幸としか言いようがありません(もちろんしっかりとした社内研修を受けて独り立ちされているとは思いますが…)。
住宅展示場の住宅会社は購入してもらうのが仕事
当たり前のことですが、住宅会社は自社の住宅でお家を建ててもらうことが仕事です。お客様に自社を選んでもらうために他社との違いやお客様に満足していただくために日々セールストークの練習をし、どうしたら選んでいただけるのか?を日々勉強されています。そうした訓練を積み重ねて少しでも多くの営業実績を上げていくのが現場にいる営業さんの目標です。
しかし、時には「お客様の満足」の積み重ねをはき違えてしまう人も多く存在します。私は彼らと同じようにファイナンシャルプランナーとして駆け出しの過去に、様々な住宅会社さんの予算診断を請け負ってきました。そうした現場で、お客様の立場で一緒に家づくりのお手伝いをする本当に素晴らしい成績を収められる営業さんや、信じられないような要求をしてくる営業さんなどたくさんの経験をしてきました。
中には「買ってもらうために予算を吊り上げろと要求する担当者も」
特に後者で多かったのは、お客様に自社の住宅を購入してもらうために住宅予算をもっと上げてほしいと私に要求してくるのです。つまり、お家を建ててしまえば後のことは知りませんということです。
いったい誰がその責任を取るのか?お客様は住宅を購入し将来の家族の幸せを思い描いているのに、目先の数字に追われるがゆえに、残念ながら疑問に思う場に数多く出くわしました。
予算で無理をしたくないというお客様の立場をくみ取るために法人を設立
それがその後に私がマイホーム購入の相談窓口として中立な立場で仕事をするきっかけになった大きな理由です。
住宅展示場では正確な「無理のない住宅予算」を知ることができない
前述しましたが、住宅会社は自社でマイホームを建ててもらうことが仕事で、少しでも多く売上を上げるために営業活動を行っています。当然ながら低い予算の建物よりも高い予算の建物を建ててもらえるほうが成績は上がります。お客様は無理をしたくない反面、住宅会社の営業さんは少しでも高いお買い物をしてもらいたいという利益相反の構図が現場ではびこります。
お客様にとって無理のない住宅予算を組んでしまうと、建物の価格は下がってしまうか、下手をすれば自社での購入を断念されてしまう(お客様が逃げてしまう)ことにもつながります。そのため、お客様からお願いをしない限り大半の住宅会社の営業さんは予算診断をしてくれませんし、仮にしてくれたとしても予算を吊り上げる=売り手の立場寄りの予算診断になってしまいます。決してすべてがその限りではありませんが、私自身そうした現場の事情を見てきた現実があるのです。
記事タイトル:将来安心な住宅予算の決め方は?
まとめ
国土交通省の令和4年度住宅市場動向調査報告書によると、住宅取得の流れとして最初に住宅展示場に足を運んでいる人は購入者全体の約54%という統計があり、その行動自体は一般的な住宅取得の流れと言えます。
記事タイトル:令和4年度 住宅市場動向調査報告書-国土交通省
私自身も過去の仕事の中で住宅展示場でお客様本位のとても優秀な営業さんに出会う機会もいただき(現在もお付き合いを継続させていただいています)数多くの経験を積ませていただきました。
しかしながら、それらはあくまで氷山の一角で、現場には様々な「大人の事情」が存在しえることや、お客様のためになる提案が欠如している人に出くわす場面も経験してきたのも事実です。
住宅取得後も家族のずっと幸せな生活を実現していただくために、住宅展示場に最初に行く前に現場に関わらない中立な立場のファイナンシャルプランナーが予算診断を行う「一般的な住宅購入の流れ」がこの先正しい姿に変わっていくことを願うばかりです。
株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産や住宅予算診断、住宅ローンの専門家として、第三者的な立ち位置からのお金の専門家として、その後の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。