公開日 2025年2月13日 最終更新日 2025年2月15日
はじめに
2025年1月の住宅ローン金利利上げについて
2025年1月、日本銀行は長らく続いていた低金利政策を転換し、2025年1月24日には、政策金利を0.25%から0.5%への追加利上げも決定しました。これにより、同年末までを目途に約1%までの段階的な引き上げが予想されています。この決定は、国内外の経済環境の変化やインフレ対策を背景としています。特に、住宅ローンを検討している人々にとっては大きな影響を与えることになりました。
2025年1月のメガバンクの住宅ローン金利は、2024年12月と比較して変動金利は横ばいだったものの、10年固定、20年固定金利などは若干の上昇となり、今後少しずつ影響が出ることが予想されます。
これまで、日本の住宅ローン金利は歴史的な低水準にあり、多くの人々が変動金利型の住宅ローンを選択していました。しかし、金利上昇の兆しが強まる中で、「これから住宅を購入しても大丈夫なのか?」という不安が広がっています。
住宅ローン金利上昇が懸念される2025年、マイホーム購入を考えている人の不安とは?
マイホーム購入は、多くの人にとって人生最大の買い物です。そのため、住宅ローン金利の上昇は家計に直接影響を及ぼし、購入をためらう大きな要因となります。
特に、以下のような不安を感じる人が増えています。
マイホーム購入をためらう大きな要因
・金利がさらに上昇するのではないか?
・変動金利を選ぶと将来の返済額が増えてしまうのでは?
・今、購入すべきか、それとも待つべきか?
金利上昇局面でも賢くマイホーム購入するためのポイントを解説
こうした疑問に答えるため、本記事では金利上昇局面における賢い住宅購入の方法を詳しく解説します。一戸建てやマンション購入にどちらでも共通の方法になりますので、これから購入を検討する方はぜひ参考にしてください。
金利が上昇している状況でも、特に以下の5つのポイントを押さえれば、安心して住宅購入を進めることが可能です。これらについて、順を追って解説していきます。
5つの賢く購入するためのポイント
✅ライフプランを見直し、長期的な資金計画を立てる
✅固定金利と変動金利のリスクを理解し、適切な選択をする
✅金融機関の金利動向をチェックし、少しでも有利な条件を選ぶ
✅投資を活用して将来的な資金不足に備える
✅専門家に相談し、最適なローン計画を立てる
2025年2月の住宅ローン金利最新情報
変動金利と固定金利の最新動向
2025年2月時点の住宅ローン金利は、2024年と比較して全体的に上昇傾向にあります。(詳細は7章に記載)
金利種類 | 2024年との比較 |
---|---|
変動金利 | 政策金利の影響を受けやすく、今後も上昇する可能性が高い。 |
固定金利 | 既に高止まりしており、今後の金利環境次第でさらに上昇する可能性もあります。 |
大手銀行、地方銀行、ネット銀行の傾向
各金融機関の動向は以下の通りです。
1.大手銀行(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など)
固定金利の上昇が顕著な一方、変動金利は横ばいか若干上昇。
2.地方銀行(関西みらい銀行、紀陽銀行、京都銀行など)
競争力を維持するため、変動金利の引き上げ幅は抑えられている。
3.ネット銀行(住信SBIネット銀行、ソニー銀行など)
他行と比較して金利が低めだが、固定金利の上昇が目立つ。
日銀の金融政策の推移と金利への影響
これまでの金融緩和と政策金利の変化
日本銀行は長年にわたり超低金利政策を継続し、経済の活性化を目指してきました。特に2016年以降はマイナス金利政策を導入し、金融機関が日銀に預ける資金の一部に対してマイナスの利率を適用することで、貸出を促進してきました。しかし、2024年後半からこの方針を見直し、段階的に金融緩和を縮小する動きに転じました。
具体的に、直近で以下の政策の方向転換がありました。
主な政策転換
・2024年10月:マイナス金利政策の撤廃を示唆
・2024年12月:短期政策金利を0%に引き上げ
・2025年1月:さらに政策金利の0.25%の利上げを実施
このような政策の転換により、以下のような影響が生じています。
金利変化による影響
・政策金利の引き上げ:短期金利が上昇し、金融機関の貸出金利も上昇
・長期金利の上昇:10年物国債利回りが上昇し、固定金利が高止まり
・住宅ローン金利の上昇:変動金利・固定金利ともに上昇基調
特に2025年1月の利上げ後、住宅ローンの変動金利の上昇ペースが加速しており、多くの金融機関で金利が見直されています。

変動金利・固定金利への影響とは?
金利変動のリスクは選択する金利のタイプによって影響が異なります。
1.変動金利のリスク
変動金利の住宅ローンは、一般的に固定金利よりも低い金利で借りることができるため、当初の返済負担が軽くなるのがメリットです。しかし、金利は半年ごとに見直され、5年ごとに返済額が見直される仕組みが一般的です。
現在、日本銀行の金融政策が転換期を迎えており、金利が徐々に上昇する可能性が高まっています。そのため、以下のようなリスクが考えられます。
変動金利に生じるリスク
❌ 将来的な金利上昇による返済額の増加
金利が上がると、それに伴い毎月の返済額も増加する可能性がある。
❌ 家計の負担が予測しにくい
収入が一定でも、金利変動によって返済額が変わるため、長期的な資金計画を立てにくい。
❌ 総返済額が結果的に高くなる可能性
初めは低金利でも、金利上昇が続くと結果的に固定金利よりも高い返済総額になることもある。
2.固定金利の安心感
一方で、固定金利の住宅ローンは、借入時に決めた金利が契約期間中ずっと変わらないため、長期的な返済計画を立てやすいのが特徴です。特に金利が上昇傾向にある場合、以下のようなメリットがあります。
固定金利のメリット
✅返済額が変わらない
景気の変動や政策金利の変更に左右されず、安定した返済が可能。
✅将来の金利上昇リスクを回避できる
現在の金利で固定することで、将来の金利上昇の影響を受けない。
✅長期的なライフプランが立てやすい
住宅ローン以外の支出(教育費や老後資金など)の見通しが立てやすくなる。
ただし、固定金利は変動金利よりも一般的に金利が高く設定されており、当初の返済負担が大きくなる点には注意が必要です。
住宅ローン返済中の人への影響
既にマイホームを取得済みで、現在住宅ローンを返済中のご家族については、昨今の金利上昇がどのような影響を与えるのでしょうか?
金利上昇により毎月の返済額がどのように変わるか?
金利上昇により、変動金利で住宅ローンを借りている人の毎月の返済額が増加する可能性があります。
例えば、5,000万円を借入している場合、もともとの金利が0.45%から0.65%に0.2%上昇した場合、以下のように毎月の返済額は4,443円の負担増になります。
金利上昇による毎月の返済額の影響
借入金額 | 金利(%) | 毎月の返済額 (35年) |
---|---|---|
5,000万円 | 0.45 | 128,691円 |
0.65 | 133,134円 | |
0.85 | 137,675円 | |
1.05 | 142,311円 | |
1.25 | 147,043円 |
既に住宅ローンを返済中の方は、今後の金利上昇リスクに備えるために、現在返済中の金融機関との金利引き下げ交渉や、家計の見直しなどを図り、負担増に備えることが重要です。
これから住宅ローンを借りる人への影響
現在の経済状況や金利動向を踏まえ、今後どのようにローンを組むべきか慎重に考える必要があります。ここからは、これから住宅ローンを借りる人への影響について詳しく解説し、金利選択のポイントや事前準備について考察します。
変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか?
繰り返しになりますが、これから住宅ローンを選ぶうえで変動金利と固定金利のメリットとデメリットについて十分に理解する必要があります。
1.変動金利の特徴
変動金利は、契約時点の金利が低く抑えられていることが特徴です。2025年2月現在、日本の変動金利は比較的低水準にありますが、今後の金利動向によっては上昇する可能性があります。
変動金利のメリット
✅現時点では固定金利よりも低いため、月々の返済額を抑えられる。
✅金利が上昇しなければ、長期的に見ても有利な条件で返済ができる。
✅初期の負担が少ないため、他の投資や貯蓄に回す余裕が生まれる。
変動金利のデメリット
❌ 今後の金利上昇によって、月々の返済額が増加するリスクがある。
❌長期間の返済計画を立てる際に不確実性が伴う。
❌ 金利の見直しが定期的に行われるため、想定外の出費となる可能性がある。
2.固定金利の特徴
固定金利は、契約時に決まった金利が返済期間中変わらないタイプのローンです。一般的に変動金利よりも高めに設定されていますが、将来の金利上昇リスクを回避できる点が魅力です。
固定金利のメリット
✅金利変動の影響を受けないため、返済計画が立てやすい。
✅長期間にわたり安定した返済額で家計の管理がしやすい。
✅金利が上昇しても影響を受けず、将来的な支払い額の不確実性がない。
固定金利のデメリット
❌ 変動金利よりも初期の金利が高く、毎月の返済額が大きくなる。
❌将来的に金利が下がった場合でも、契約時の金利のまま返済を続ける必要がある。
❌ 短期間でローンを完済する予定の場合は、固定金利のメリットが活かせないこともある。
3.どちらを選ぶべきか?
選択のポイントは、将来的な金利変動へのリスク許容度と家計の安定性です。
住宅ローン選択のポイント
✅低金利を活かして短期間で返済したい場合は、変動金利が適している。
✅長期的に安定した返済を希望する場合は、固定金利が安心。
✅リスクを分散するために、一部を変動金利、残りを固定金利にする「ミックスローン」も検討する価値がある。
固定金利と変動金利のミックス型住宅ローンの選択肢
こうした状況を踏まえ、金利が上昇する局面では、固定金利の安定性と変動金利の低金利のメリットを組み合わせた「ミックス型住宅ローン」が注目されています。
ミックス型住宅ローンとは、借入額の一部を固定金利、もう一部を変動金利に分ける方法で、金利上昇のリスクを抑えつつ、返済負担を軽減することができます。
ミックス型住宅ローンのメリット
ミックス型住宅ローンの最大の特徴は、固定金利と変動金利の「いいとこ取り」ができる点にあります。具体的なメリットを見てみましょう。
✅ リスク分散ができる
金利が上昇した場合、変動金利部分の負担は増えるものの、固定金利部分は影響を受けません。すべてを変動金利にするよりも、リスクを抑えながら返済が可能です。
✅ 固定金利よりも当初の返済負担を軽減できる
すべてを固定金利にするよりも、一部を変動金利にすることで、当初の返済額を抑えることができます。
✅ 金利変動に応じた柔軟な対応が可能
仮に金利が上昇しなかった場合でも、変動金利部分の低金利の恩恵を受けることができます。金利状況を見極めながら、将来的に借り換えを検討する選択肢もあります。
✅ 返済プランをカスタマイズできる
例えば、「借入額の50%を固定金利、50%を変動金利」にするなど、家計状況や将来の資金計画に応じて、柔軟にプランを組むことができます。
ミックス型住宅ローンのデメリット
一方で、ミックス型住宅ローンにはいくつかのデメリットも存在します。
❌ 金利が複雑になる
2種類の金利が適用されるため、金利変動の影響を理解しにくく、管理が難しくなる可能性があります。
❌ 金融機関によって商品が異なる
ミックス型ローンは金融機関ごとに提供される条件が異なるため、事前にしっかり比較検討する必要があります。
❌ 一括借り換えがしにくい
将来的に借り換えを検討する場合、固定金利と変動金利部分を別々に手続きする必要があるため、手間がかかることがあります。
このように、金利上昇が続く現在の住宅ローン市場では、変動金利のリスクを抑えながらも、固定金利の負担を軽減できる「ミックス型住宅ローン」が注目され始めています。
✅変動金利は低金利だが、将来の金利上昇リスクがある。
✅固定金利は安定性があるが、当初の金利が高め。
✅ミックス型住宅ローンは、リスク分散と返済負担のバランスを取ることができる。
どのローンを選ぶべきかは、家計状況や将来のライフプランによって異なります。金利の動向を踏まえながら、最適な住宅ローンを選択するために、専門家に相談するのも一つの方法です。
関西の17銀行の住宅ローン金利比較(2024年2月~2025年2月現在)
金融機関によって住宅ローンの金利や条件は異なります。そのため、複数の金融機関を比較し、最も有利な条件を選ぶことが重要です。金融機関の金利動向をチェックしていきましょう。
以下は、大阪、兵庫、奈良、京都など関西の17銀行の変動金利の最新動向(2025年2月)を表にまとめました。2025年2月(基準)、2024年2月時点の金利と、2025年2月を基準にして2024年2月との金利差を明示しています。
銀行名 | 2025年 2月現在金利 | 2024年 2月時点金利 | 金利差 (2025年2月 ~2024年2月) |
---|---|---|---|
イオン銀行 | 0.53% | 0.28% | +0.25% |
池田泉州銀行 | 0.47% | 0.32% | +0.15% |
auじぶん銀行 | 0.434% | 0.169% | +0.265% |
SBI新生銀行 | 0.410% | 0.420% | -0.01% |
関西みらい銀行 | 0.445% | 0.375% | +0.07% |
紀陽銀行 | 0.43% | 0.395% | +0.035% |
京都銀行 | 0.925% | 0.775% | +0.15% |
住信SBIネット銀行 | 0.448% | 0.298% | +0.15% |
ソニー銀行 | 0.647% | 0.397% | +0.25% |
但馬銀行 | 0.825% | 0.775% | +0.05% |
南都銀行 | 0.625% | 0.775% | -0.15% |
みずほ銀行 | 0.375% | 0.375% | ±0 |
みなと銀行 | 0.445% | 0.295% | +0.15% |
三井住友銀行 | 0.625% | 0.475% | +0.15% |
三井住友信託銀行 | 0.510% | 0.405% | +0.105% |
三菱UFJ銀行 | 0.425% | 0.425% | ±0 |
りそな銀行 | 0.390% | 0.340% | +0.05% |
*上記の金利は各行の変動金利を表示しています。最新の住宅ローン金利や詳細な条件については、各金融機関の公式サイトや窓口でご確認ください。また、最優遇金利を表示していますが、審査結果によっては最優遇金利が適用されないことや希望額通りにならないこともございます。
金利だけではなく、手数料や保証料などの総コストを考慮して住宅ローンを選択していきましょう。
まとめ
住宅ローンを選ぶために必要な準備とは?
1. 金利上昇局面での適切な資金計画
これからマイホーム購入を検討している方は、金利上昇リスクを考慮し、以下のような資金計画を立てることが重要です。
金利上昇局面での適切な資金計画
✅余裕を持った返済計画を立てる
月々の支払いが家計に過度な負担をかけないようにする。
✅金利上昇も踏まえた資金計画を立てる
あらかじめ金利が上昇することも想定して返済計画を立てる。
✅固定金利と変動金利のバランスを考慮する
全額変動金利にするのではなく、一部を固定金利にすることでリスクを軽減できる。
2. 借入額を抑える:無理のない範囲でローンを組む
住宅ローンを借りる際には、できるだけ無理のない範囲での借入を心がけることが重要です。
無理のない範囲での借入を心がける方法
✅返済比率(年収に対するローンの割合)を適切に設定する。
返済比率を年収の20〜25%以内に収めるのが理想的。
✅手持ち資金の大半を住宅費用につぎ込まないようにする
目先の生活資金を最低2年分は確保しておく。
✅家計の見直しを行い、余計な支出を抑える
固定費の削減などで毎月の余剰資金を確保する。
3. NISA制度など投資の活用
昨今は急激な物価上昇やエネルギーの高騰など家計を圧迫する要素が増加しているため、今後の住宅ローンの返済と並行して、将来的な資産形成も考えることが特に重要です。特に、新NISA(少額投資非課税制度)制度などを活用することで、効率的に資産を増やすことが可能です。不動産会社や住宅会社はこうした将来的な資産状況まではサポートしてくれないため、自己防衛が必要となります。
4. ライフプランの作成
住宅ローンを借りる際には、将来のライフプランを見据えた資金計画が必要です。
将来のライフプランを考える上での注意事項
✅家族構成の変化(子供の教育費、老後資金)を考慮する。
✅住宅購入後の維持費(固定資産税、修繕費)も計算に入れる。
✅万が一の事態(病気、失業)に備えた貯蓄や保険を検討する。
5. 専門家に相談し、最適なローン計画を立てる
住宅ローン選びに不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談することで、より安心して計画を進めることができます。
専門家に相談するメリット
✅ライフプランに基づいたローン選び
専門家が個々のライフプランに合わせた最適なローン計画を提案。
✅金利リスクの回避
将来の金利変動を見据えたアドバイスを受けることで、リスクを最小限に抑えられる。
✅金融機関の比較検討や交渉をサポート
専門家が銀行と交渉し、比較検討を行うことにより、より良い条件でローンを組む手助けをしてくれる。
このように、住宅ローンを借りる際には、変動金利と固定金利のメリット・デメリットを理解し、自身の状況に適した選択をすることが重要です。また、金利上昇リスクを考慮した資金計画や、無理のない借入額の設定、投資の活用、ライフプランの作成を通じて、将来的な不安を軽減できます。
マイホーム購入の相談窓口ではライフプランの作成を通じて、金利上昇を踏まえた最適な資金計画をご提供することが可能です。また、リモート相談も可能なため、全国でマイホームの購入を検討されている方のご相談も受けることができます。住宅ローン選びに不安を感じている方は、一度気軽にご相談ください。


株式会社Erwin 代表取締役
マイホーム購入の相談窓口 代表、ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、住宅FPエキスパート。不動産や住宅予算診断、住宅ローンの専門家として、第三者的な立ち位置からのお金の専門家として、その後の人生を考えた上でのアドバイスを行っている。不動産に関わる知識や税務などのライティングに携わる。